理工学部の特色

1. 最先端の情報メカトロニクスを活用できる人材育成

 本学では、AIを使いこなす「一段上のスキル」を修得できるように、2020年度から、全学部の学生を対象とした KSU基盤教育においてAIリテラシーを学ぶ授業科目を始めています。学部教育と連携し、文系では「人間性あふれるコミュニケーション力」、 理工系では「新しい仕組みをつくる力」、 芸術系では「世の中を刺激する創造性」など、 一段上のスキルを身につけ「AIを使いこなす人」の育成を目指します。

 理工学部では、「情報・機械・電気」が融合して生まれた「情報メカトロニクス」を掲げて、さまざまな教育研究活動に取り組んでいます。例えば、次世代自動車として研究開発が進められている自動運転車です。自動運転車は、理工学で学ぶ情報科学、機械工学、電気工学などの知恵や技術を組合せ作られています。しかし、ただ単にそれらの学問分野の技術が組込まれているだけではありません。AIという新たな技術を用いて、情報科学、機械工学、電気工学の異なる分野を一層融合させることにより、飛躍的な進化を遂げています。これからのエンジニアや研究者は、異分野横断で、さまざまな仕事に従事することになるでしょう。その時に、AI技術という新しい武器が扱えると、きっとより面白いモノを創造することができると思います。

 理工学では、「AIを使いこなす人」の育成のために、新たなカリキュラムを作成し教育を実行しています。
 AIに関するテーマを座学や実習等で教えている講義としての一例をご紹介いたします。

実践力育成演習B(理工学部共通)

AIプログラミング演習(情報科学科、機械工学科)

AIリテラシー(機械工学科)

AI入門、AI応用(電気工学科)

 2020年5月より、AIに関する機械学習やディープラーニングなどさまざまなツールが利用できるMathWorks社製MATLAB包括ライセンスを契約しました。これにより、九州産業大学・九州産業大学造形短期大学部の学生及び教職員は、MATLABを無償で利用することができます。

実践力育成演習B

 本講義は、「AIを使いこなす人」を育てるための全学基礎教育の一環であり、数式演算ソフトウエアであるMATLABを用いて、人工知能の活用事例を体験(習うより慣れろ)し、AIの魅力と必要性を体感する。MATLABの使い方、AIの基本的な利用方法、AI体験を通じた論理的思考力およびAI倫理を学修します。本講義は、理工学部共通の基礎教育科目なので、情報科学科、機械工学科、電気工学科のどの学科の学生でも受講することができます。

AI入門

 電気工学科では、「AIを使いこなす人」を育成するための導入教育として、AI入門という講義を行っています。近年、ディープラーニングをはじめ人工知能(AI)が大変発展しています。本講義では、様々なAIの手法を利活用しながら、データの処理能力や分析力を身につけることを目標にしています。AIの適切な利活用には、データの特性とAI手法の仕組みの両面を学ぶことが重要になります。本講義では貸与PCを活用した演習を中心にしながら、データの加工、処理、分析する素養と分析結果の解釈する素養をバランスよく習得することを目指しています。

プロジェクトデザイン教育でエンジニア力を修得

 異なる専門分野(情報科学、機械工学、電気工学など)を持った学生が共にプロジェクトに参加することで、課題をさまざまな視点から捉え、意見し合い協調しながら解決を図るという過程を体験することができます。このようなプロジェクトデザイン教育を通じて、地域社会を支えるエンジニア、次世代の技術を開発する開発者や研究者としての素質や能力を身に付けることができます。

プロジェクトデザイン管理 

 理工学部内全学科横断型の課題解決型教育演習(PBL)であるプロジェクトデザイン管理という科目を紹介します。複合分野にまたがる具体的な問題を題材に、プロジェクトマネジメント力、スケジューリング方法、評価方法を実践的に習得する。個別課題と総合課題に取り組み、総合課題については、役割分担、教え合いなどを通じて、モノづくりとコトづくりに係わる、課題設定・解決方法、システムデザイン力、グループワーク、社会人基礎力を習得する。併せて、人間関係を通じて、社会人として必要な「環境適応力(世の中の変化に柔軟に対応)」を涵養することを目的としています。

 各学科で取り組んでいるプロジェクトデザイン管理のテーマを下記に示します。

情報科学科:組込みシステム開発、Webシステム開発

機械工学科:スマートファクトリー

電気工学科:小学生向けの科学教室の開催

テクノアートプロジェクト

技術と芸術の融合で、まだ世界にないものを創造

 芸術学部の学生が考えた斬新なアイデアを、理工学部の学生が高い技術で具現化する、学部間の相乗効果が発揮されるKSUプロジェクトです。毎年、作品テーマが公表され、それに基づいて芸術学部生が企画プレゼン発表を行います。その後、理工学部の各研究室の学生とのチーム決めを行います。そして、企画内容が実現できるように芸術学部生と理工学生が切磋琢磨し作品作製に励みます。本プロジェクトは、作製した作品についての最終発表会を福岡市科学館で実施しています。毎回、あっと驚く仕組みが組込まれた作品と出会えてとても楽しいです。また、作品については、期間限定で、福岡市科学館で展示及び説明を学生が行っています。

 ここでは、最優秀賞を取った「君もエアーギターリストだ!」について紹介します。エアーギターについてご存知でしょうか。実際には本物のギターを持ってないんだけど、あたかもギターを持って演奏しているかのように、周囲の方を楽しませるパフォーマンスがあります。芸術学部の女子学生が、エアーギターとテクノロジーを融合させると面白おもちゃができるのではないかと企画したものが「君もエアーギターリストだ!」です。このハイテクおもちゃは、ギターのヘッドとなるデバイスを左手で握り、ボディーとなるデバイスは右手首に装着します。ヘッドとボディーはBluetoothで通信を行い、連動するようにシステムを作っています。パフォーマンスを行いたい音楽を再生しながら、音楽のリズムや手首の振り方に応じてヘッドとボディーに内蔵しているLEDが点灯して、雰囲気を盛り上げてくれます。

 本プロジェクトを通じて学生は、アイデアを具現化し、実用に繋げる力や異なる専門分野の人と連携をスムーズにできるコミュニケーション能力などを身に付けることができます。

フォーミュラーカー

 理工学部の学生と芸術学部の学生が力を合わせて、走行することが可能なフォーミュラカーや次世代のクルマ「RATORA」を設計開発し、福岡モーターショーで展示しました。「RATORA」は、「Travel」と「Mobility」を掛け合わせた造語「Trabity」をコンセプトとして、将来普及が予測されるパーソナルモビリティー時代に向けた、大切な人と楽しく移動できるクルマです。機構や構造設計を理工学部機械工学科が、外観デザインやカウル(※エンジンや車体を覆う部品)制作を芸術学部デザイン学科が担当しています。

3. 学部共通で実施するICT基礎教育

 ICTの基礎的な教育を専門家でう情報科学科の教員が学部共通で実施しています。また、理工学部3学科の学生は一人一台の貸与ノートPCを使用して、さまざまな授業や実習等を受けることができます。この貸与ノートPCには、Wordなどのオフィスソフトウェアに加えて、情報科学科の専門科目で使用するプログラミング環境、機械工学科の専門科目で使用する図面を描くCAD、電気工学科の専門科目で使用する数式演算ソフトウエアであるMATLABなどが使用できるようになっています。理工学部の学生は、貸与ノートPCを使うことで、時間や場所を問わない柔軟な学修環境で学んでいます。

 貸与ノートPCの故障などのアフターサービスは、12号館1階のPCインフォスクエアの担当者が親切丁寧に対応して頂けます。コンピューター関連の商品やソフトウエア、マウス、USBメモリ等、幅広いアイテムがそろっています。

営業時間
月~金 8:50~17:30

4. 基礎教育サポートセンター

 理工学部3学科の非常に面白い専門科目を理解するためには数学や物理の力が不可欠となります。高校で数学や物理についてあまり勉強する機会がなかった、勉強したけど忘れてしまった。そんな学生にお勧めなのが8号館2階に開設している基礎教育サポートセンター(基礎サポ)です。

 基礎サポには、数学や物理を専門とする教員が平日の授業時間中待機しています。例えば、微分積分Ⅰで、高校で習った部分積分法を適用して上手く問題を解くことができない、また、物理学Ⅰで、出題に合った運動方程式を導くことができない(式の物理的な意味が分からない)などお困りのことがあれば、積極的に質問してください。質問する、その一歩が、皆さんの専門科目をより楽しむ第一歩となります。

 入学時にプレイスメントテストを受験して頂き、入学時の実力に応じて基礎数学と基礎物理のクラス編成が行われます。したがって、数学や物理が苦手だという方や逆に大好きだという方に合った講義の進め方で授業を受けることができます。このような基礎数学や基礎物理を通じて各学科の専門科目への橋渡しを行っています。

基礎サポを利用している学生からのアドバイス

 基礎数学や基礎物理の理解できていない公式や法則について、基礎サポの先生から親切に教えていただきました。何度も何度も通い無事に基礎数学と基礎物理の単位を取得することができました。また、線形代数Ⅰの授業では、拡大係数行列を使って連立方程式を解く方法が講義の先生の話を聞くだけでは全く理解ができませんでした。そんな時も、基礎サポの先生が、私にもわかりやすいように、例題や図を描いた説明を行って頂き、ようやく解けるようになりました。さらに、専門科目である電気回路の数学に関する質問に対しても教えて頂いていました。私から1年生や2年生にお伝えしたいことは、数学や物理で、分からなくなり悩んでいる方が居たら是非基礎サポの先生を訪ねて欲しいです。分からないことをそのままにしておくと、専門科目の単位を落とすことにもなりますので注意が必要です

(電気工学科4年生 S君)