電気工学科DEPARTMENT OF ELECTRICAL ENGINEERING

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電気工学科
研究
2023.11.03

KSU VISION DAYにおいて理工学部電気工学科の教員や学生が発表

2023年11月2日から3日に九州産業大学大楠アリーナでKSU VISION DAY 2023を開催しました。

「KSU VISION DAY 文×理×芸=展」は、文系・理系・芸術系の学部学科の垣根を超え、「産学一如」を建学の理想に進化し続ける、九産大ならではの研究成果や九産大の特色のあるプロジェクト型教育などを紹介する展示会です。

理工学部電気工学科では、西嵜先生、末吉先生、村上先生、今坂先生、松岡先生、鴈野先生、福田先生、山光先生、貞方先生及び学生が研究やプロジェクトについて紹介しました。

KSU VISION DAY 2023 https://www.kyusan-u.ac.jp/ksu_vision_day/index_archive2023.html

KSU VISION DAY 2023 アーカイブ動画 https://www.youtube.com/watch?v=Rw4SZGIH9kY

理工学部・芸術学部 テクノアートプロジェクト

理工学部と芸術学部で行っているテクノアートプロジェクトについて、作品展示・実演を行いました。テクノアートプロジェクトは、芸術学部の学生がプロダクトのアイデアやコンセプトを考え、それらを理工学部の情報科学科、機械工学科、電気工学科の学生がチームを組んで、カタチにするプロジェクト型教育です。

2023年度のテーマは、テクノロジー×家具でした。芸術学部の学生の豊かで面白い発想から、ユニークな近未来的なプロダクトが生まれました。2日間で多くの小学生や高校生に来ていただき、作品で遊んで頂けました。当日は、機械工学科の牛見先生、村上先生、電気工学科の貞方先生、作品を作製した学生が作品の紹介等を行いました。

省エネ半導体SiC:信頼性と応用

電気工学科の村上先生は、省エネ半導体として注目を浴びているSiC-MOSFETについて紹介されました。一般的に、SiCとは炭化ケイ素のことであり、SiC-MOSFETは、パワーデバイスとして、電気自動車のモータを駆動するドライブ回路などに使用されています。特に、SiC-MOSFETのゲート絶縁膜の信頼性の研究は非常に重要です。なぜならば、突然SiC-MOSFETが壊れると電気自動車が突然制御不能になり事故を起こしてしまうからです。村上先生は、SiC-MOSFETのゲート酸化膜の界面窒素量が与える影響について研究されています。

身近に広がる液晶デバイス

皆さんは、液晶って何と聞かれると、液晶ディスプレイが頭に思い浮かぶと思います。確かに、古くから液晶分子はディスプレイとしての応用が盛んになされています。しかし、液晶の魅力はそれだけでは無いんです。現在、液晶分子は様々なデバイスへ展開されています。電気工学科の福田先生は、液晶分子を用いたスマートウインドウに関する研究を行っています。窓ガラスに印加する電圧の有無で、窓ガラスが透明になったり、白濁した状態を作り出すことができます。ちょっとおしゃれなオフィスや電車などの窓に採用されています。その他にも、レーザープロジェクタの画質向上に向けて、液晶電気対流パターンを利用したレーザー光源システムの画質向上に関する研究についても紹介しました。

パルスパワー技術とその応用

電気工学科の今坂先生は、パルスパワー技術の応用について研究されています。皆さんは、クリーンなエネルギーとして、水素燃料電池を知っていますか?水素と酸素の化学反応を利用して電気を作る電池です。しかも、排出されるのは水だけです。地球温暖化などを引き起こす環境負荷の大きい二酸化炭素は排出しません。電気自動車として水素燃料電池を採用した自動車も販売されています。また、家庭用の水素燃料電池としてエネファームなどが販売され普及しています。今坂先生は、発電するための動作温度が低くても発電することが可能な固体高分子型水素燃料電池の研究に取り組んでいます。今坂先生は、高電圧工学が専門で、パルスパワー技術を固体高分子型水素燃料電池に応用されています。具体的には、発電量を高めるためには、水素ガスと酸素ガスを化学反応させて電気と水を生成する過程で重要となる水素極と酸素極と呼ばれる電極を上手く作る必要があります。ナフィオン溶液とカーボンナノチューブなどを用いて電極を作製する際にカーボンナノチューブが溶液に良く混ざらない問題が生じます。そこで、今坂先生は、カーボンナノチューブのナフィオン溶液中での分散性を高めるために、パルスパワー技術を用いてカーボンナノチューブの表面改質を行うことで問題を解決し、固体高分子型水素燃料電池の発電量を向上させる研究を紹介されました。

可変リアクトルとその応用

電気工学科の山光先生は、皆さんのお家に電気を安全に届けるための研究に取り組んでいます。火力発電所や原子力発電、太陽光発電所などで作られた電気は高い電圧に変換されます。そして、送電線を使って電気を皆さんのお家や高校、商業施設などに届けています。実は、皆さんがどのくらい電気を使うかで、お家に届く電気の大きさである電圧が変わってしまいます。電圧が大きく変わると家電製品などが壊れる可能性があります。そのなことが起きたら嫌ですよね。山光先生は、お家などの電気を消費するところ(受電端)に設置する可変コイルや可変キャパシタを用いた特別な電気回路を考えています。電気機器や電気回路、制御装置の展示と説明を行いました。

ナノ構造超伝導体の物性解明による高性能超伝導体の開発、イオンビーム技術による新規ナノ機能材料の創製

電気工学科の西嵜先生と末吉先生は、超伝導体に関する研究に取り組んでいます。超伝導とは、物質の電気抵抗がゼロになって電気を非常に流しやすくなる現象のことです。電気抵抗ゼロということは電流を流してもエネルギーが減らない! 将来の電力送電や電力貯蔵などに期待されています。

西嵜先生は、ハイエントロピー合金を用いた超伝導体の物性解明及び高性能超伝導体の開発を行っています。

ハイエントロピー合金とは、5種類以上の金属をそれぞれ高濃度で混合した合金と定義されています。複数の金属を混合することで新たな機能が生まれ、高価な金属の代替材料としての活用が期待されています。まだ、単一金属と比較したコストの問題や、溶融温度や組成比の最適解を探るという課題もありますが、触媒や生体適合材料として利用される、高価な貴金属や資源量の少ないレアメタルを代替する可能性があることから、注目を集めています。

末吉先生は、電気エネルギーのロスを無くし送電することが可能な超伝導線材の研究を行っています。特に、イオンビームを用いて超伝導体中に様々な欠陥を作ることで超伝導の特性を向上させることができる、大変興味深い研究を紹介されました。

研究室の学生は、九産大の総合機器センターのブースでも研究の紹介を行いました。

新しい高齢者学習像と科学教育

電気工学科の鴈野先生は、宇宙を専門とする物理の先生です。また、科学教育についても様々な取り組みを行っています。今回の展示会では、新しい高齢者学習像と科学教育について、来場者に説明されました。高齢化が進むとともに健康な高齢者が増加している先進国においては、高齢者向けの生涯教育の重要性が増えている。しかし、従来の高齢者教育研究は衰えへの対処に主眼が置かれ、科学教育の役割や方法について検討されていませんでした。高齢者が加齢とともにどの様な学習動機の変化を経験し、その中で科学がどのように自己実現に貢献できるかを検討することは、科学教育及び高齢者学習研究の地平を大きく広げる可能性を持つテーマです。発表では、九産大と大野城市で行っている、「九産大レクチャーシリーズin大野城シニア大学」についても紹介されました。

「九産大レクチャーシリーズin大野城シニア大学」については、下記のサイトをご覧ください。

https://www.city.onojo.fukuoka.jp/s047/20210310150352.html

 

キャンパス内ローカル5G

電気工学科の松岡先生は、QTnetと九産大が産学連携で実施しているキャンパス内5G通信の電波受信強度マップの作成など関する研究に取り組んでいます。このキャンパス内5Gに関する研究は九産大の複数の先生が共同で取り組んでいます。

九州産業大学と株式会社QTnetは、2021 年5 月に締結した「共同研究契約」に基づき、九産大キャンパスに独立したローカル5G ネットワークを構築し、外部ネットワークの制限を受けない5G環境において、「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」という5Gの特長を生かした新たな利用方法などの研究を進めています。

QTnetと5G共同研究を開始

https://www.kyusan-u.ac.jp/news/qtnetkyoudoukenkyu20210519/

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