電気工学科DEPARTMENT OF ELECTRICAL ENGINEERING

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2023.05.27

理工学部3学科の学びを知り体験する理工学部総合教育

世の中のプロダクトやサービスは情報・機械・電気の融合でできている

皆さんが毎日利用している、今、手に持っているスマートフォンは、理工学部3学科の情報科学科、機械工学科、そして、電気工学科で学ぶ知識や技能等が融合して作られているといっても良いです。例えば、iPhoneの様な洗礼されたボディーを作り出すためには、機械工学科で学ぶ機械設計や製図、機械工作などがベースとなります。合成樹脂製のケースであれば射出成形機を用いて加工します。最近は、多彩な切削加工がプログラミングで行えるマシニングセンターを使用し、アルミブロックからの削り出しで作製された高級感のあるケースも増えてきています。加工だけではない、スマートフォンは防水仕様のため空冷による電子部品などの冷却が難しい。そのため、機械工学科で学ぶ熱力学、流体力学の知見が大いに活かされています。次に、ボディーの中には、高密度にCPUやメモリなどの電子部品が搭載された基板やリチウムイオン電池、カメラモジュール、無線通信モジュールなどが搭載されています。これらの設計・開発、製造については電気工学科の電気回路、電子回路、半導体工学、通信理論などがベースとなる。皆さんが、スマートフォンで写真を撮って、直ぐSNSに投稿することができるのも半導体をはじめとするハードウェアがあるからです。さて、ここまではハードウェアを作り込む話です。ハードウェアだけでは、スマートフォンは動きません。そこにソフトウェア(アプリ)が搭載されてはじめて皆さんが普段使っているスマートフォンができているのです。スマートフォンのアプリで使用されているプログラミング言語やネットワーク、情報処理の知識や技術は情報科学科で学ぶことができます。なにもスマートフォンのアプリだけではなく、最近話題となっている半導体を作る半導体製造装置、AIを駆使して良品の半導体チップを生産するためにも組込みシステムに関する学びが重要となっています。上記の例のように、理工学部の3学科である情報科学科、機械工学科、電気工学科の学びは現代社会において欠かすことができないものとなっています。

理工学では設立時から自身の学科の学びを軸として複数の学科の学びを得る機会を設けるために、入学した学科の専門科目を学び、他学科や他学部の科目を決められた範囲内で履修することができるようになっています。しかしながら、多くの学生は、他学科の科目を履修することは無く、自身の学科の学びを軸とし広く浅く他学科の内容も理解できる学生を教育するには効果的ではないと考えていました。そこで、1年生の前期に開設している全員が履修する大学スタディスキルという授業で、3学科の学びの紹介や各学科の初年次に行う導入演習などを体験してもらう理工学総合教育の時間を作りました。狙いは、これから学ぶ各学科の専門分野が他学科の専門分野と関係していることを知ってもらうことです。

情報・機械・電気の学びは面白い

情報科学科の先生からArduinoマイコンを用いた電子回路のプログラミングをWebブラウザベースで行えるTinkercadの話題を提供してい頂きました。電子部品を挿し込んで配線を作れるブレッドボードに、LEDや抵抗、マイコンの出力端子をワイヤーで接続。LEDを決められた時間間隔で点滅させるLチカを披露しました。10年ほど以前のマイコン開発では、電子部品やマイコンを買ってきて回路を作り、プログラムを組んで実行することで正しい動作を行えるか検証していました。今では、Tinkercadなどを用いることで、簡易的ではありますが、学生自身でブラウザベースで回路を作り、プログラムはノンコードプログラミングでブロックを繋げていくことで書けます。電気や機械の学生にとっては、プログラミングというと難しいイメージを持っていると思いますが、マイコンと簡単なプログラミングでLEDなどを制御することができると知ることができたのではないでしょうか。

情報科学科の学生と先生が取り組んでいるETロボコンについての紹介をして頂きました。ETロボコンは、組込みシステム分野における技術教育・人材育成をテーマとしたETソフトウェアデザインロボットコンテストです。一般的なロボコンとは異なり、同じ走行体(ハードウェア)を用いて、ソフトウェアやモデリングの良しあしを競い合う。組み込み分野におけるソフトウェア開発の教育を目的とするロボコンです。情報科学科の安武先生、澤田先生が学生を指導し全国大会で優勝しています。動画でのロボット競技の紹介やunityを用いたシミュレーションなど興味をそそられる内容でした。

機械工学科の先生からは、力学やものづくりなどについての話題提供がありました。寺西先生からは力学についての説明を頂きました。構造力学で良く出てくる片持ち梁、梁(角材)の片側を固定し、梁の先端に力を加えた時、梁はどれくらい力に耐えれるだろうか、また、どのくらい曲がるのかを教えました。力学の基本的な考え方である応力を模型や時には学生の体で実験するなどユニークなお話でした。

村田先生からはスターリングエンジンについてのお話を頂きました。スターリングエンジンとは、熱機関の形式のひとつで、シリンダー内のガス(もしくは空気等)を外部から加熱・冷却し、その体積の変化(加熱による膨張・冷却による収縮)により仕事を得る外燃機関です。スコットランドの牧師、ロバート・スターリングが1816年に発明し、名称はこれに由来しています。スターリングエンジンの設計から実際にガスバーナーの炎を当てて回転している様子を動画で紹介していました。

電気工学科の貞方先生は、機械工学科の1年生に向けて、半導体産業のすゝめとして座学と実習を交えた講義を行いました。半導体と聞くと機械工学科の学生は関係ないと思いがち。しかし、九州には半導体チップを作るのに欠かすことができない、半導体製造装置メーカーがたくさんあります。また、各種制御、金型や部品をはじめとするメーカーもあります。機械工学科の学生の中から、将来、半導体産業へ参加して頂き、九州の半導体産業を盛り上げて頂きたいと願いを込め行いました。そもそも半導体とはなにものなのか説明を行いました。ロジック半導体チップをガスバーナーで炙って樹脂の中から取り出した半導体チップを顕微鏡で見てもらうことも実施しました。
半導体を使った実習として、赤と緑色のLEDが交互に点滅する回路を作ってみました。この実習には貞方研究室の学生2名と機械工学科のSAの学生さんにも手伝っていただき実施しました。ブレッドボードを使った電子工作をやったことがない学生が多いと思い、組立資料を準備していました。学生は、真剣に電子部品をピンセットを使ったりしてブレッドボードの差込、配線を完成させていました。電池を繋げて、LEDがチカチカと点滅する学生も居れば、動かない学生も居ました。原因を見つけて動き出したときは、嬉しい顔を見せてくれました。今後、電子工作に興味を持ってくれる機械工学科の学生が増えると良いなと思いました。
電気工学科の松岡先生は、情報科学科の学生に、電気工学科の学びの紹介として、学科の特徴や研究について説明されました。特に、通信会社であるQTnetと本学が連携して行っているローカル5Gプロジェクトで、学内の各エリアにおける5Gの電波強度を調べて、ユーザーが快適に5G通信を使用することができるか、できないとすればどの様な対策が必要か検討するための基礎データを取得する研究を紹介されていました。

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